スマートシティ実証参加者座談会~スマホサポーターによる市民のためのスマホ講座~
SENBOKUスマートシティコンソーシアムでは、大阪経済大学の髙井逸史教授にご協力いただき、泉北ニュータウン地域の住民自らが「スマホサポーター」として、同じ地域に住むシニアの住民向けにマンツーマンでスマートフォンの使い方をレクチャーする出前講座「スマホサポーターによる市民のためのスマホ講座」を行っています。
自治会や老人会、地域のお友達同士など、様々な住民グループからの依頼を受けて地域に出向き、参加者の質問に答える形で展開する講座は受講者満足度も非常に高く、大好評をいただいています。
今回、スマホサポーターの皆さんに集まっていただき、この取組について語っていただく座談会を開催しました。
「スマホサポーターによる市民のためのスマホ講座」」の詳細については下記のHPをご覧ください。
https://senboku-smartcity.com/2024/04/30/r6_smartphone/
<座談会参加者>
○スマホサポーターの皆さん
暦利さん・秋山さん・三島さん・阿部さん・吉田さん・谷さん
○大阪経済大学 髙井 逸史 教授
<インタビュアー>
堺市市長公室政策企画部 中川・山口

Q(インタビュアー):
スマホサポーターの活動に参加されたきっかけを教えてください。
阿部さん:
私はずっとスマホを我流で学んで使っていましたが、髙井先生が主催されたスマホサポーターの養成講座の参加者募集の記事を泉北コミュニティで見て応募しました。
スマホを使えない人が周りにも結構いましたが、「スマホを使えれば自治会等ももっと効率的に運営できるはず」という思いから参加しました。
吉田さん:
私も泉北コミュニティを見て、スマホサポーターの養成講座に参加しました。
スマホもどんどん進化していきますが、スマホの機能のアップデートにあわせて自分もアップデートしたいと思ったんです。
谷さん:
私は「スマホサポーターになればボランティア活動ができる」と思って参加しました。同時に、「人にスマホの操作をお教えすることになれば、自分も真剣になれる」と思ったんです。
それから当時、堺市が「スマートシティ」という言葉を広報などで使い始めていて、「スマートシティって何?」と興味を持ったんです。
スマホを使える人には「スマートシティ」の良さが理解できると思うんですけど、生活の中で本当はICTの力が必要な方がスマホを使えていないということも多いので、「自分なりにサポートできれば」と思いました。
髙井教授:
当時(2021年度)はコロナ禍でしたが、地域に住むシニアの皆さんが同世代の住民にスマホをお教えする機会ができれば、皆さんの外出や交流の機会にもなりますし、住民同士のいいつながりができると思って、スマホサポーターの養成講座を企画しました。
今お話をお聞きして、その後も皆さんがスマホの勉強を続けられ、知識を蓄えられてきたことがよくわかりました。本当に皆さん自身がアップデートしてますね!

Q(インタビュアー):
地域に出向いてスマホサポーターの活動をする際に心がけていることはなんですか。
暦利さん:
マンツーマンの講座なので、参加者の方も聞きたいことを聞けますよね。信頼してもらえるように、相手ときちんとした距離感を保って、相手が聞きたいことに誠実に答えることを意識していますね。
秋山さん:
私はお教えする側ですが、「あなたが知らないこともあるかもしれないけど、私が知らないこともあるから、一緒に学びましょう」という気持ちを大切にしています。
また、説明する際にはゆっくりと話すように心がけています。あとは、「来てくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを持つことを心がけていますね。
三島さん:
スキルは常に磨かないといけないと思いますが、自分が知っていることで人に役に立つことを大切にしています。たとえば、南海バスの「Bus-Vision」というアプリを使うとバスの時刻がすぐにわかります。そういった、普段使いができる身近な情報をお伝えするように心がけていますね。
髙井教授:
皆さん、色んなことを考えて教えていただいていることがわかり、本当にありがたいですね。私の研究室では、大学生がシニアの皆さんにスマホの使い方をお教えするスマホ講座もやっていますが、同年代の皆さんがお教えする講座のほうが自然にコミュニケーションも生まれて、ものすごく盛り上がるんです。同じ泉北に住んでいる住民同士、という関係性もいいんでしょうね、
阿部さん:
学生さんはスマホの操作が得意だから、逆にスマホのことがわからないシニアに教えるのは知識のギャップみたいなものがあるのかもしれません。同年代の人間がお教えした方が、聞く方も入ってきやすいのかもしれませんね。

Q(インタビュアー):
スマホサポーターの活動を通じてあなたが感じる、「自分が住んでいる地域で、住民のために活動することの良さ」を教えてください。
吉田さん:
今の時代は何をするにしてもスマホが必要ですよね。逆に言うと、スマホを使えれば何でもできます。「地道なサポートで、スマホを手軽に使える人が増えれば」という思でサポーターの活動をしていますが、それが私自身の生きる喜びにもつながっていますね。
三島さん:
私は引きこもりにならないように、普段からできるだけ多くの方と関わるようにしています。仕事を引退してからは、イベントを見つけては参加して、人とコミュニケ―ションを取ることを行動の基本において生活しています。自分の得意なことを活かして、パソコンやスマホサポーターの活動をしていますが、他者との良いコミュニケーションの機会になっていますね。
秋山さん:
三年前までフルタイムでは働いていましたが、週3日勤務になった時に「すきなことをしたい」と思うようになったんです。今は仕事との両立でスマホ講座のお手伝いを楽しくやれています。仕事では、敬語ばかりの生活でしんどかったんです。肩の力を抜く良い時間になっています。

Q(インタビュアー):
それでは次に、スマホサポーターを経験したことで起こった生活の変化はありますか。
谷さん:
私はポイ活をするようになりました。日々の生活でポイントが貯まると得した気分になりますね(笑)。あと、私は英会話が趣味なんですが、AIの英会話アプリで英語の勉強をするようになって、英語の実力アップが生活の楽しみになっています。これは皆さんにお勧めですね。
暦利さん:
私もポイ活は意識するようになりましたね。私は仕事を3つくらいしているので、スマホサポーターの活動を始めてからメリハリのある生活ができるようになりましたね。
私はこの取組も、スマホの講座を通じて同世代の住民の交流がどれだけ活発になるかを測る壮大な社会実験のような気がしていて、シニアの住民の生活の変化がどんどん起こればいいなと思っています。
秋山さん:
私はスマホサポーターの活動を始めてから、「順序立てて話をする」ということを学べましたね。相手の話を最後まできちんと聞かないと答えられないですし、はっきりと理解できるように言わないと相手にもこちらの話が伝わらないですからね。
三島さん:
私は、外出する機会が増えて、知り合いも増えましたね。LINE友達も増えて、季節が変わるたびに動画などのメッセージをくださる方もおられます。
髙井教授:
皆さんのお話をお聞きしていると、「好奇心や探求心がある」というのはいくつになっても大切なことだと感じますね。スマホサポーターの活動を通じて知識を深めて、AI英会話アプリの活用など、皆さん自身の自己研鑽にもつながっていることを知り、驚きました。

Q(インタビュアー):
あなたにとってスマホサポーターの活動はどのようなものですか。
阿部さん:
スマホについて、参加者の方の話を聞いて逆に私自身が「こんな使い方があるのか!」という新しい発見があったり、「参考にしてみよう」と思うことがあり、良い学ぶ機会になっています。
谷さん:
私にとっては良い自分の居場所ですね。髙井先生からスマホ講座の開催の連絡が来たら、いつもすぐにカレンダーに日付を入れてるんです。髙井先生のおかげで、気軽な気分で楽しく参加できています。
吉田さん:
私は過度な緊張感を感じるような仕事は引き受けられないですけど、リラックスしすぎる日々がだらだら続くのもよくないと思っているんです。たまに節目のようにスマホ講座の機会があるのは良いことだと思っています。私にとってはお出かけできる良い場所なんです。
暦利さん:
スマホサポーターの活動のおかげで、日々の生活がだらけたものにならないのでありがたいです。私にとっても大事な居場所ですね。
髙井先生:
皆さんにとって「居場所」になっているというのは意外なご感想でした。仕事等の緊張した生活とリラックスした日々の合間にある「生活の節目」になっているというのもありがたいお言葉でした。

Q(インタビュアー):
では最後に、あなたがスマホサポーターの経験を活かして、今後やってみたいと思っていることはありますか。
秋山さん:
私は、障害者や高齢者の方が歩んでこられた人生や現在の生活をパワーポイントで作成し、それをスライドショーにする取組を始めています。皆さん喜んでくださって、私もうれしく思っています。
三島さん:
これからはAIの時代ですので、私はスマホやパソコンにAIを取り込んで、AIを使った色んな活動に取り組んでいきたいと思っています。新たなチャレンジですね。
阿部さん:
今、自治会は加入率が減って人手不足になっています。スマホを使えば連絡も簡単にできますし、たとえば回覧板の電子化ができれば皆さんの負担も減りますよね。そんなことがこれからできればいいなと思っています。
吉田さん:
スマホサポーターの活動を始めてから、「自分の限界を決めずに何でも1回やってみる」という気持ちになりました。これからもその気持ちで色んなことをやっていきたいと思っています。
谷さん:
私はアシスタント的に色んな活動を支えるのが好きなんです。子どもも好きですし、色んなことでこれからも地域の役に立てればと思っています。
暦利さん:
私は、どんなことでも呼ばれたらサポートできる体制ではいたいなと思っています。
自治会でスマホ講座があれば、スマホサポーターで培った経験を活かして、裏方でアドバイスできればいいなと思いますね。
髙井教授:
皆さん、スマホサポーターの経験を経て、どんどんご自身のスキルを進化させていることがよくわかりましたし、新しいものをどんどん受け入れていく姿勢に感動しました。
今日はこれまで聞くことができなかった興味深い話をたくさん聞けましたし、非常にいい機会になりました。
インタビュアー:
スマホサポーターの活動が皆さんの「良い居場所」になっていることもわかり、私たちもとてもうれしい気持ちになりました。これからも引き続きよろしくお願いします。

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