地域活動団体へのインタビュー 大きな輪 代表 川口さん
泉北ニュータウンで運動を通じた地域のつながりや安心・安全に向けた「パトランSENBOKU」や「原山公園parkrun」等の取組を幅広くされている、大きな輪・代表の川口さんにお話をお聞きしました。(写真中央:川口さん)
大きな輪 HPのURL ⇒ https://marikookinawa.net/
大きな輪 代表 川口眞利子さんへインタビュー
<インタビュアー> 南海電気鉄道㈱泉北事業部 日高 / 堺市役所政策企画部先進事業担当 中川 / 堺市役所泉北ニューデザイン推進室 古下
Q:川口さんは、ジョギング・犬の散歩・ウォーキングをしながらまちの見守りを行う「パトランSENBOKU」の取組を主宰されていますが、この取組を泉北で始められたきっかけを教えてください。
川口さん:
私はこれまで運動指導やヨガのインストラクター等の仕事をしてきたんですが、自分が趣味でランニングを始めようと思った時に、モチベーションアップのために「誰かのためになることをしたい」と思ったんです。
当時、パトランは府内では泉佐野で行われていたんですが、良い取組だと思ったので取組を進めている大阪府警本部に話を聞きに行って、昨年の9月に想いに賛同してくれたメンバー3人で立ち上げました。現在、55名の方がFACEBOOKグループに入ってくださっていて、情報交換しながら活動しています。
Q:もともと川口さんは泉北出身の方なんですか。
川口さん:
そうですね。泉北で生まれ育ちましたが、別の場所で住んだあと戻ってきました。実は私、子どもの小学校のPTAや自治会の役員等もしているんですが、その中で「私が幼い頃、当時の地域の大人の皆さんが色んな思い出を作ってくれたから私もまた泉北に戻ってきたいと思えたんだ」と思ったんですよね。
その世代の方が今は高齢者になられていますが、地域で活動をしていてもやっぱり高齢者の皆さんは地域のことをよく知っているし、この地域の大切なブレインだと思うんですよ。だからこそ、私はパトランが多く人がつながる場になったらうれしいという思いをもっているんです。
フレイルの問題でも、高齢者のやりがいや生きがいが大切だと言われますが、パトランが高齢者の皆さんの生きがいややりがいにつながったらいいなと思いますし、パトランを通じて皆さんが若い人ともつながってくれるとうれしいですね。
Q:川口さんはデイサービス等での運動指導のお仕事もされてきたようですが、高齢者の健康の問題についてはこれまで色々と思われるところがおありだったんでしょうか。
川口さん:
そうですね。デイサービスなどに来る前の段階の「予防」の大切さをものすごく感じてきましたね。パトランのメンバーは50~70代の方が多いんですが、話をしていると、「これまでも地域貢献をしたいと思ってきたが、きっかけがなかった。多世代の交流もできてうれしい」と語ってくれる人が多いですね。
Q:まさに、「楽しみながら地域の役にも立てて、健康にもなれる」というのがパトランの魅力ですね。
川口さん:
私はこれまで多くの高齢者を見てきて、「心が健康な人は、身体の病気があっても元気だし、前向きに長生きできる」ということを思ってきたんですね。心の健康はそれくらい大切ですし、人と交流して、緑の多い泉北の景色を見て、美味しいものを食べる。それがやっぱり大切ですし、それができるパトランは「子ども食堂の大人バージョン」だと思っています。
Q:泉北ニュータウンの原山公園で行われているpark runの取組にも積極的に参画されていますが、こちらのきっかけを教えてもらえますか。
川口さん:
park runについては、仕事の出張時に知りました。毎週同じ時間に公園に集まって、みんなで5kmをそれぞれのスタイルでウォーキング、ランニング、ジョギングなどするんです。車いすや犬の散歩でもOKですし、ボランティアや観覧としての参加もできます。
良い取組だと思ってpark runのオフィシャルページにメールを送ったら、park runの日本のエリアマネージャーから返事がありました。堺市さんが原山公園でやろうとしているとのことでしたので、参加することにしました。今年の9月にスタートしましたが、毎週土曜の朝8時に原山公園20名くらいの方が参加してくれていますね。
「誰が来てもそれぞれの役割がある」というのがpark runの良さですが、パトランと同じように住民の交流や世代間のつながりのためにpark runをしたいという思いをもって、私も含めた6人のコアボランティアで運営しています。
Q:実際に様々な年代の方が参加されているんですか。
川口さん:
そうですね。一番下は年長組の子どもから最高齢は83歳の方まで参加してくれていて、交流が生まれていますね。皆さんが地域に関わるきっかけにもなっていると思います。
Q:川口さんは運動指導員やヨガインストラクター、パーソナルトレイナー等のお仕事やPTAや自治会活動、パトランSENBOKU、park runの取組まで、すごいエネルギーで様々な活動をされているように思いますが、なぜそれだけの活動ができているんですか。
川口さん:
何かをやりたいと発信した時に、「一緒にやろう!」と言ってくれた人がいたことが大きかったですね。ボランティアや地域活動をしたいと思っている人は多いと思いますが、「やりたい」と言ったか言わなかったかの違いではないでしょうか。
Q:話は変わりますが、働き盛りの世代の健康増進について、皆さんに運動をしてもらうためにはどんなことが大切だと思われますか。
川口さん:
30~40代の方がジムに入られるきっかけはダイエットやバンプアップのためが多いんですね。一度継続できたら、高齢になってもやめない方が多いと思います。現在、地域会館でヨガ教室を行っていますが、70~80代の15人くらいの住民さんがずっと通ってくださっています。一人でやると続かないことも、毎週その場所に行くと誰かがいて一緒にできるという環境、それが大切だと思います。
Q:では、健康増進も含めて、地域ではどんなICTを使ったサービスのニーズがあると思いますか。
川口さん:
泉北ニュータウン限定等のローカルのコミュニティツールでしょうか。ジムや健康に関わる情報、親の介護や子育ての相談など、身分を明かさずに情報交換できるツールがあると喜ばれるんではないでしょうか。昔は井戸端会議でできた話だと思いますが、今はスマホの中ででもできると良いと思いますね。
Q:これまでも様々なことをされてきた川口さんですが、これからどんなことをしていきたいですか。
川口さん:
実は今、NPOを作るための作業をしているんです。きちんと組織化をして、皆さんの協力を得ながら、運動指導をはじめ様々な活動をしていきたいと思っています。その中でパトランのTシャッを作ったりしていきたいですね。
私の活動はすべて、「地域コミュニティ」がベースにあるんですね。パトランもparkRunもそのためにやっています。これまで地域を作ってこられた高齢者の皆さんに学びながら、「来るものこぼさず、去る者追わず」のスタンスで色んな人と連携しながら、我々がそうしてもらってきたように、今度は私たちの世代が子どもたちの思い出も作っていきたい。
皆で楽しみながら活動を続けて、いつか「泉北の高齢者、みんなめっちゃ元気やん!」といわれるような地域を作れるといいですね。
ヘルスケア
WG