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地域活動団体へのインタビュー 泉北ラボ

泉北ニュータウンの高倉台地区でリモートワーク機能を有する施設「泉北ラボ」を運営する、公益財団法人泉北のまちと暮らしを考える財団の宝楽さんにお話をお聞きしました。

(写真左:宝楽氏さん / 写真右(インタビュアー):堺市政策企画部 大澤)

泉北ラボのHPは右記をご覧ください。 ⇒ https://senbokulab.business.site/

Q:泉北ラボができた経緯を教えてください。

宝楽さん:2017年に、泉北ニュータウンのまちびらき50周年を祝うために、堺市をはじめとした地域のステイクホルダーが集まって通年で実施した「泉北ニュータウン50周年事業」を契機に30~40代の住民のつながりができたんですが、翌年に「これから何をしていこうか」という話をする中で、情報やお金が地域内で循環するような泉北の未来を創っていくための市民の財団を作りたいという案が出たんです。そして、財団を作るために対話を重ねる中で、市民102人の仲間が集まり、財団ができました(泉北のまちと暮らしを考える財団)

Q:102人もの方が趣旨に賛同して集まったんですか、それはすごいですね。

宝楽さん:そうなんです、泉北の住民の皆さんは地元に対する思いが熱いですからね。それで、2020年2月に登記したんですが、まさにコロナの感染が拡大し始めた時期で、コロナで顕在化した地域の課題を財団で調査したんです。そうすると、アンケート回答者である子育て世代の半分くらいの人が日々の家事をワンオペでやっていて大変だということが分かったんです。そうしたいわゆる「孤立化」の課題を解決するため、「子ども・若者・子育て世代」を財団の活動の主たるテーマにしようということになったんです。一方で、財団として補助金などのお金を出すだけでは状況は変えられないという思いから、住民の暮らしを支え、みんなが集まることができる拠点を作ろうということになり、この泉北ラボを作りました。

Q:もともと高倉台西小学校があったこの場所を選ばれたのはどうしてですか。

宝楽:この場所への立地が決まっていた大阪健康福祉短期大学も、「地域の一員としてこの場所でまちづくりに関わっていきたい」という思いをもっておられて、地域連携拠点の運営にお声がけいただき、お互いが持っている資源をいかしながら、地域のために一緒にやっていこうということになったんです。

Q:泉北ラボにはコワーキングスペースをはじめ、カフェやコインランドリー、コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)、まちライブラリーなどの様々な機能がありますが、施設としてのコンセプトはどういったものですか。

宝楽さん:施設のコンセプトは「私設の公民館」です。ただ、住民さんやお客様には「まちの家事室」と発信しています。広場みたいに世代を問わず地域のいろんな人が様々な目的でここに集って、自然に交流することができるような場所を作りたいと思っていました。いろんな機能があるので受け入れられる領域が広くて、まさに「ごちゃまぜ」で人々の「交差点」となるような場所を作ることが理想でしたね。

Q:子育ての相談会や手話のワークショップ、写真撮影の教室、プログラミング教室等、色んなイベントも開催されているようですし、まさにそんな場所になっていますね。

宝楽さん:そうですね。ご年配の方が会議をしている横で、読書をされている人がいたり。2階がコワーキングスペースになっているんですが、2階での仕事に疲れた方が下に降りてきて、また環境を変えて仕事に集中されたりしていますよ。私たちはここで小さなコミュニティがたくさんできることを大切にしていて、ここを住民の新たなつながりができる拠点にしていきたいと思っています。

Q:コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)があるのも特徴的だと思いますが、どのような仕組みなんでしょうか。

宝楽さん:これは寄付の冷蔵庫です。泉北ラボは困ったときに助け合える場所でありたいと思っていますので、多くの方に食料品をはじめとした生活用品をご寄付頂き、主に子育て世帯の生活に困った方に24時間、ご都合の良い時に取りに来ていただくことが可能です。無人運営をしていますので、時間や人目を気にせず、ご利用いただくことが可能です。そのほかにも、泉北ラボは見守りを兼ねた配達型の子ども食堂「おかずボックス」の供給拠点でもあったりします。そうやって、地域の住民の皆さんの暮らしに近いところで、「困ったときはお互いさま」の気持ちで助け合える活動をしたいと思っています。

Q:泉北ラボはまさに、仕事や学び、交流、生活支援等の拠点として地域に求められる機能を提供されているんですね。これからも地域の課題を解決していくために、様々な企業や団体とどんな連携ができそうでしょうか。

宝楽さん:たとえば私は日々現場で活動して、自治会やPTA等の地域の役割も担って地域課題も理解しているので、地域と企業・団体とをつないで実証でもなんでも新しいことにチャレンジできると思っています。本気で泉北で取り組んでみたいことがある企業や団体さんは、ぜひご相談頂ければと思います。

Q:最後に今後の抱負を教えてもらえますか。

宝楽さん:泉北ラボは泉北の多くの住民の皆さんの思いや寄付でできた場所ですので、これからも多くの方が集まり、交流できる拠点になればと思っています。リモートワーク等のお仕事をされる方もぜひ一度お越し頂いて、「人と人の交差点」であるこの場所を楽しんで頂きたいと思います。もう一つは、泉北中にその地区の課題を解決する拠点ができたらうれしいという思いがあります。今、財団で助成事業をしながら、地域で拠点を作って活動する団体の支援を行っていますが、そういう場所が増えていってほしいですね。

<利用者さんの方の声>

泉北ラボは週1〜2回の頻度で利用しています。コワーキングスペースとして利用することがメインですが、昼食やカフェでの利用も多く、利用方法が限定されないのも泉北ラボの魅力です。仕事をする人から近隣の高齢者、隣接する大学の学生さんなど、幅広い年齢層や背景の人が出入りする風通しにも心地よさを感じています。職住が近接することで、終業後に子どもと出かけたり、趣味のジョギングができたりと、一日の時間を最大限に活かすことができます。都心への通勤が前提であったニュータウンにコワーキングスペースが普及することで、新しいライフスタイルが浸透しつつあると感じます。

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運営

公益財団法人泉北のまちと暮らしを考える財団 ⇒ https://semboku-fund.org/

市民の力で地域の課題解決を実現していくために大阪南部泉北周辺地域での地域の新しい資金循環を行う機関として、泉北ニュータウンまちびらき50周年を機にさまざまな取り組みを経て、主に30,40代が中心となり設立したニュータウン型コミュニティ財団。

住民のチャレンジを下支えし、新たな地域課題に気づき、行動する人が増えるように、そして自分たちのまちがより住みやすくなるように、「温かいお金・資源」が地域でめぐる仕組みづくりを実施。

まちの家事室・泉北ラボ を市民の交流拠点を運営し、みんなの冷蔵庫コミュニティフリッジ を通じた支え合いの仕組みづくり、助成プログラムでは泉北ニュータウンの孤立と地域をつなぐ助成事業を通じて、泉北ニュータウンにおける社会的孤立に対して、コミュニティビジネスの手法を活用して解決するモデルプログラム育成を実施。

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